武用さんは昨冬、今冬と続けてスキーで転倒、鎖骨を折った。治療中、思うように手に力が入らず、 普通に持ったつもりの大切なコーヒーカップを床に落として割り、力が弱っていく高齢者らの気持ちに初めて思いが及んだという。コップ、食器にも多用される備前焼が、弱者に対応した形ではほとんどつくられていないとも気付いた。
既製の介護用品やインターネットで約1年研究し、「ええじゃろう」と名付けたシリーズを考案。 カップは、親指以外の指4本がすべて入る取っ手をつけてしっかり握れるようにし、 取っ手の上を親指で押さえて持てるようにした=写真。皿は一方に壁をつくってこぼれにくくし、 スプーンで食べやすいようにした。底にも滑るのを防ぐゴムシートを張った。
武用さんは「丁寧な造りと焼きを心掛け、一個3千円から5千円にしたい」と話す。