なぜ、インターネットに備前焼?

備前メディアネットは中国通商産業局発行の「創知化のすすめ」のモデル企業として選ばれました。
「創知化のすすめ」より一部掲載しております。


 備前焼は千年来の歴史を持つ焼物として広く親しまれており、その特徴の一つとして、全て焼けが違うということが挙げられる。この特徴故にカタログ等の大量印刷物では一つ一つの備前焼の特徴を、遠くの人々に伝えられない側面が生じている。

 93年初秋、備前焼展示販売会を開いていた時の事である。一人の方が来られ、一つの壷を見ながら「この様な壷を買って帰りたいのだが、他の壷はないだろうか。」そう尋ねられた。しかし、そこにはその壷しかなく、また、本店にある幾つかの壷を紹介できる術もなく、結局その方は帰って行かれた。もし、備前焼を遠隔地に伝える手段があれば・・・・

 その数日後、新聞紙上に一つの宣伝広告が掲載されていた。それはNTTのディジタル・テレビ電話であった。もし、これを展示即売会場と本店の2地点間に接続すれば、そこに展示していない備前も紹介できるのではないだろうか。一つ一つの備前焼の特徴を、遠くの人々に伝えられるのではないだろうか。翌日よりNTTの 協力の下、電話回線を通して備前焼の画像を伝送する実験が始まった。

 まず、テレビ電話では双方向で会話しながら備前焼の映像を伝送することは可能であったが、高精細画像という点で劣っていた。次に高精細画像伝送器では、静止画ではあるが非常に高精細の画像伝送が可能であった。しかし、これらの欠点は他の機種との互換性がないことと、送ったデータ等の公開、 保存性が非常に乏しいということが挙げられた。これらの欠点を補う為にはパソコンを使用した通信手段が求められるようになった。(この時点ではパソコンの知識も非常に乏しく、またマルチメディア、インターネットという言葉さえもほとんど耳にしなかった。)

 間もなく、社会全体がマルチメディア、インターネットの重要性が認められるようになったが、私が勤めていた備前焼製造会社では、マルチメディアが広く浸透するのは2010年以降という認識の下、マルチメディア及びインターネットの導入は完全に社内の運営方針より除外されてしまったのである。

 94年の西日本の水不足と95年の阪神大震災。これらにより備前市に訪れる観光客は激減。それに伴い、備前焼業界も急激に売り上げを落とすことになっていった。

 その影響は、備前焼販売店「衆楽館」も強く受けていたが、これらの教訓を次の時代に生かすチャレンジとなった。95年初夏、(有)備前メディアネットショッピングセンターの設立となったのである。

 (有)備前メディアネットショッピングセンターは備前焼販売店「衆楽館」の店内に設けられ、マルチメディア・ネットワークに存在する備前焼販売店である。マルチメディア・ネットワークとはインターネット、CATVネットワーク、BBSなどが考えられる。

 現在、我々が行うべき事は、インターネットというまだまだ未完全なネットワークの中で、いかに備前焼に興味を持っていただける方々を引き寄せ、市場を開拓できるか。また、備前に訪れる方をいかにして増やす事ができるか。そして、一番大切な事である、個々のお客様といつまでもコミュニケーションを取って頂けるようなお店にするには、どのようにすればよいのか?これが私共の課題であり、目標である。

 私共はPL法でも日本の陶器業界に先駆け、対応した企業でもある。もちろん、PL法の原点は我々の製造した物(備前焼)によって、使って頂いている方の人的、物的財産を、製造した我々がお守りすることにある。我々の行ったことがきっかけとなり、備前焼業界全体がPL法に対応することとなった。これは日本の陶器業界でも初であったそうである。

 現在、行っている事がやがて「みえざる力」を生むであろう。それを私共の励みとしております。


備前 メディアネットショッピング センター『衆楽館』
WebMaster    武用 健
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