ユニバーサルデザインとは
ノースカロライナ州立大学のユニバーサルデザインセンター所長であったロナルド・メイス(1941-1998)が1985年に正式にペーパーで提唱した、
バリアフリー概念の発展形。「できるだけ多くの人が利用可能であるようデザインすること」が基本コンセプトである。
デザイン対象を障害者に限定していない点が一般に言われる「バリアフリー」とは異なる。
どうしてもユニバーサルデザインにできない場合は多様な選択ができること、付加・調整できること、
それでも無理な場合のみバリアフリーにすることも必要である。あるいは、生活必需品やみんなで使う公共空間や交通機関が
すべてユニバーサルデザインであるならば、そもそもバリアフリーにする必要はない。
よって、「もともとバリアのない世界を最初から構築すること」を目指すのがユニバーサルデザインの真の狙いであり、
バリアフリーはその世界への移行期間中における、あくまで臨時措置であることを作り手は認識しておくことが重要である。
ユニバーサルデザインを具体的に展開するためには、国民各層の「参画・連携・継続の仕組み(プロセスとしてのユニバーサルデザイン)」
が重要である。そこでは、ひとりでも多くのひとの利用を念頭に、みんなでニーズや問題を調べ尽くし、考え抜き、解をつむぎ出すこと、
さまざまな特性をもった使い手と作り手の各種の事業者・行政との豊かなコミュニケーション(コラボレーション)、ユニバーサルデザイン化への
強い意志と地道で継続的な努力、改善が大切である。ユニバーサルデザインは「みんなをつなぐデザイン」でもある。
ユニバーサルデザイン 7つの原則
- 原則1
- 公平な利用 公平性
- 使う人がだれであろうと、公平に操作(そうさ)できること できるかぎり、すべての人が、いつでもどこでも、同じように使いこなすことができる
- すべてのユーザーに対して同じ手段・方法で利用できること、それが無理なら別の方法でも仕方ないが、可能な限り、いつでも同一であり、少なくとも同等である。
- いかなるユーザーをも差別したり、特別扱いすることのないようにすること 差別感や屈辱感が生じない。
- 誰もがプライバシーや安心感、安全性を得られるようにする。
- すべてのユーザーに魅力あるデザインをつくる。
- 原則2
- 利用における柔軟性 自由度
- 使用するときの自由度(じゆうせど)が高いこと たとえば、右ききの人でも、左ききの人でも、思いどおりに使える
- 使い方を選べるようにする。
- 右利き、左利きどちらでも使えるようにする。
- ユーザーの的確で正確な操作ができるようにする。
- 使いやすいペースに合わせられるようにする。
- 原則3
- 単純で直観的な利用 カンタン
- 使い方がとっても簡単であること ひと目見ただけでも、すぐに使い方が理解(りかい)できるわかりやすい作り
- 不必要に複雑にしない。
- 直感的にすぐに使えるようにする。
- 誰にでもわかる用語や言い回しにする。
- 情報は重要度の高い順にまとめる。
- 操作のためのガイダンスや操作確認を、効果的に提供する。
- 原則4
- 認知できる情報 明確さ
- わかりやすい情報で理解しやすい 使う人の知りたいことが、わかりやすくていねいに説明されている
- 大切な情報を十分に伝えられるように、絵や文字、手触りなど異なった方法を併用する。
- 大切な情報は、(例えば大きな文字で書くなど)できるだけ強調して読みやすくする。
- 情報をできるだけ区別して説明しやすくする(やり方が口頭で指示しやすくなるように)。
- 視覚、聴覚などに障害のある人が利用しているさまざまなやり方や道具でも、情報がうまく伝わるようにする。
- 原則5
- 失敗に対する寛大さ 安全性
- 使うときに安全、安心であること うっかりミスで、まちがった使用をしても、できるかぎり危険につながらない
- 危険やミスをできる限り防ぐ配慮をすること:頻繁に使うものは最もアクセスしやすくし、危険なものはなくしたり、隔離したり、覆うなどする。
- 危険なときやミスをしたときは警告を出す。
- 間違っても安全なように配慮をする(フェイルセーフ)。
- 注意が必要な操作を意図せずにしてしまうことがないように配慮する。
- 原則6
-
少ない身体的な努力 持続性
- 使用中からだへの負担が少ない、少ない力でも使用ができること 長い時間使っても、どんなかっこうで使用しても、疲れにくい
- ユーザーに無理のない、自然な姿勢で操作できる。
- あまり力を入れなくても使えるようにする。
- 同じ動作を何度も繰り返すことを、できるだけ少なくする。
- 体に無理な負担が持続的にかかることを、できるだけ少なくする
- 原則7
- 接近や利用のためのサイズと空間 空間性
- だれにでも使える大きさ、広さがある 使う人の大きさや、姿勢(しせい)、動きに関係なく、ラクに使いこなすことができる
- 立っていても座っていても、どんなユーザーに対しても、重要な要素がはっきり目につくようにする。
- 立っていても座っていても、どんなユーザーに対しても、あらゆる構成要素(もの)に心地よく手が届くようにする。
- 手のひらや握りのさまざまな大きさも対応できるようにする。
- 補助具や介助者のための十分な空間が提供できる。
日本(製品やサービス)でのユニバーサルデザイン 10の提言
(株式会社 ユニバーサルデザイン総合研究所 所長 赤池氏)
- セーフティー 〜安全性〜
- アクセスシビリティー 〜接しやすさ〜
- ユーザビリティー 〜使い勝手〜
- ホスピタリティー 〜慰安性〜
- アフォーダビリティー 〜価格妥当性〜
- サステナビリティー 〜接続可能性〜
- エキスパンダビリティー 〜拡張性〜
- パーティシペーション 〜参画性〜
- エステティック 〜審美性〜
- ジャパンバリュー 〜日本的価値〜
備前焼衆楽館ユニバーサルデザイン「ええじゃろう」誕生
昨年1月(2006年)、私オーナーこと武用健(当時40)が、フリースタイル・スキーのモーグルで、宙返りジャンプに失敗。鎖骨を粉砕骨折してしまいました。以前はエアリアル日本代表選手で、
誰よりも自信のあった、体と感覚の衰えを痛感中の数日後、愛用の備前焼マグカップを何気なく持ったつもりが、怪我の為、実際には指先に力が入っておらず、床に落として割ってしまったのでした。
「これは自分の手ではない・・・」
同時に、以前の強烈な記憶が甦ってきました。
それは1989年冬のこと。第2回フリースタイルスキー世界選手権が当時の西ドイツで開催され、私も代表選手として出場していました。
その数日前の公式トレーニング中、同じ代表選手で、チームメイト(リステル)でもあり、ライバルでもある中野銀次郎選手がエアリアル後方3三回転宙返りに失敗。
右足の前十字靭帯を断裂してしまいました。
その夜、彼の部屋に行った時、彼が泣きながら腫上がった足を見せ、「自分の足じゃなくなった・・・全然力が入らないんだよ・・・」。
その時は、彼の姿を見ていられず、そして励ましの言葉も掛けることもできず、そのまま自分の部屋に戻ってしまいました。
だれよりも頑丈な体であったのに、一瞬で変わってしまう。その現状を受け入れることが出来なかったのです。彼は大会を迎えることなく、手術の為、帰国していきました。
この強烈な思い出と共に、割れた愛用マグカップを見て、今、自分のお店「衆楽館(備前焼をだれもが楽しめるためのお店)」で販売している備前焼マグカップや食器は、老いたり、怪我をして、
体が不自由になった方々にとっては、非常に使い勝手が悪い商品なのでは・・・。
じゃあ、老人や障害をもった方だけではなく、一般の方や子供たちにとってはどうなんだろう?
衆楽館の備前焼は楽しむだけではなく、「楽」に使えることも重要なのではないだろうか?
ユニバーサル・デザインとの出会いとなりました。
そして1年間、研究と試行錯誤を繰り返し、自助・介護用食器にも最適。ユニバーサル・デザイン食器「ええじゃろうシリーズ」が誕生しました。(「ええじゃろう」は、岡山弁で「いいでしょう」という意味)
この「ええじゃろう」の命名は、妻の佐織です。この名前を聞いて、最初に頭に思い浮かんだのは「銀次郎(ぎんじろう)」。このネーミングは即決となりました。
このページは誰でも持ちやすいように取っ手を工夫した、「とってもええじゃろう」です。
他に、右手、左手、大きい手、小さい手。どんな手にもジャストフィット。どなたでも持ちやすく、落としにくい、ハート型のカップ「きもちええじゃろう」や
片手だけでも食べやすいお皿「さらにええじゃろう」、ユニバーサルデザインの「UDええじゃろう」も同時に誕生。
これからも備前焼「ええじゃろう」は、それぞれの方にとっての、使いやすさや持ちやすさ、心地よさ、楽しさ、美しさを追求していきます。
製作販売者側からの「ええじゃろう」ではなく、使用される方が周りの方に「ええじゃろう」と言って頂ける様に。
些細な事でも結構です。皆様もお気づきの点等ございましたら、是非アドバイスよろしくお願い致します。
朝日新聞
毎日新聞
読売新聞
山陽新聞(夕刊 朝刊)
岡山日日新聞
以前の記事抜粋です
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(有)備前 メディアネット(衆楽館)
岡山県備前市伊部597
TEL 0869-63-1019(担当 武用 健)
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